無政府共産

無政府共產と云ふコトが意得せられて、ダイナマイトを投ずるコトをも辭せぬといふ人は、一人も多くに傳道して貰ひたい。

大逆事件で刑死した内山愚童のことばである。同志が赤旗事件で弾圧され監獄送りにされたあと、愚童がひとりでつくったパンフレット『入獄記念 無政府共產』の末尾に記されている。愚童じしんが自坊のなかで少ない手持ちの活字を拾って組んで極秘裏に一〇〇〇部刷り上げたのだ。出版法をかいくぐるまさに怨念の出版。愚童和尚が大逆事件で縊(くび)り殺されるのはそののちのことである。

これでも「大逆」の人々を「復権」させるべきだというなら、このテロリズムへの意志ももれなく承認しなければならない。つごうのよいところばかりつまみぐいしたつもりになって、それですむと思うなら好きにやるがいい(おまえじしんのことだ)。だが、ひとたび放たれたことばは誰にも止められない。入獄記念、無政府共産!